トップページ > ストーリーch > セントラルキッチンの女王

セントラルキッチンの女王原作:岩倉 豪  編集:藤田 恵介

第一話 不機嫌な女王

セントラルキッチンの女王

セントラルキッチン(central kitchen, 集中調理施設)とは、複数のレストラン・学校・病院などの、常に大量の料理を提供する必要のある外食産業や施設の調理を一手に引き受ける事で、規模のメリットを追求する施設である。

ファミリーレストランやハンバーガーチェーン等の外食産業におけるメリットは、上に挙げたような各店舗の省力化であり、また品質の安定化=サービスの一律化が図りやすい点や、一律化されたサービスにより価格設定の一元化が可能で、また調理に携わる者を減らすことで衛生管理が行いやすい面が挙げられる。

ページトップへ戻る

セントラルキッチンは一つの舞台であり、キッチンの仕事に関わる男性と女性は定められたポジションの仕事の役割を働き、彼らキッチンスタッフは労働時間シフト表に定められた退場があり入場があり、営業時間中に忙しい時と暇なときには、一人の人間が一度に多くのポジションの仕事をこなす場合がある。

セントラルキッチンでは調理で包丁などの刃物を使うことは殆どありません。
レトルトカッターと呼ばれる調理器具で工場で安全にビニールで梱包された具材を取り出し、それ以外の料理素材はフライパンやグリルで焼き、オーブンベルトコンベアに流し調理する。

それでは物語の初めに物語の舞台になるファミリーレストラン(省略してファミレスと呼びます)の、お客様に料理を提供(お客様に料理を出す事)するセントラルキッチンの3つの調理ポジションをご説明したいと思います。

=イン= 
このポジションは、オーダー(注文)が入ると、揚げ物(フライ料理)の、からあげ・竜田揚げ・ポテト・手羽先などの揚げ物を最初に調理し始め、メイン料理のハンバーグ・ステーキ・チキンなどを鉄板にのせベルトコンベアに流しデシャップ(仕上げ)に送り、他にもライトミール(オムライス・パスタ・グラタン・鍋物・うどん)なども調理をする場所

=サラカン=
イン側以外で作る惣菜料理(マグロご飯・鯖の煮物・豚生姜炒めetc)や鍋料理の準備、各種サラダ(豆腐サラダ・シーザーサラダ・シーフードサラダetc)、デザートの各種ケーキ(チョコレートケーキ・チーズケーキetc)、パフェやサンデーなどを調理します。

=デシャップ=
インがベルトコンベアに流した料理や、サラカンから出てきた料理の仕上げを行いお客様に提供出来るまで仕上げ
和膳料理を用意し、フロアにゴハンをライス皿や茶碗に盛り
味噌汁・豚汁・ポタージュ
を出すセントラルキッチンの要、ここで料理は命を吹き込まれたように盛り付けられフロアスタッフによりお客様の前へ湯気を上げながら運ばれる。

Life's but a walking shadow, a poor player
人の一生は歩き回る影法師、哀れな演者にすぎない。
ウイリアム・シェークスピア

ページトップへ戻る
セントラルキッチンの女王

ある家族がファミレスの入り口のドアを開けて中に入ると、「ピンポン」入出場を告げるチャイムがフロアに鳴り響く、フロアのスタッフがお客様に一礼をしながら

「いらっしゃいませ。 お客様何名さまでいらっしゃいますか?、喫煙席か禁煙席のご希望ございますか?」
と伺う。
「4名ですけど、禁煙席でお願いします」

軽やかに家族が店の中の空いている席に歩を進め、フロアスタッフが丁寧に
お客様がご希望の席にご案内をし、ご着席になられたところで、この時期のフェア・メニュー(お勧めメニュー)をお客様にご紹介し、一礼をして立ち去り、去り際のフロアスタッフが見せる笑顔はお客様に安心感を与える。

メニューを開くと色彩鮮やかな料理が並び、今日は何を食べようか?と心が躍る瞬間、お客様は何を食べようか思案しながら相談する。

「お母さん。ハンバーグが食べたい」
「僕はチキン!」
「じゃ~お父さんは俺はこの生姜焼き和膳がたべたいな」
みんな決まった?・・・じゃあ呼ぶわよ」

子供達が興味がいっぱいでメニューの写真を楽しみ、メニューから食べたい料理を吟味し決まるとフロアスタッフを呼ぶチャイムを押す。
「ピンポン」とチャイムが鳴り、テーブル番号を確認しながらお客様の注文を伺い、セントラルキッチンにオーダーを入れる。

キッチンの伝票機械からオーダーレシートが出てくると注文を確認しながら各ポジションのスタッフが調理を開始

=イン=と呼ばれるポジションに立つのは、若干16歳の高校生 月乃一葉・・・通称ツッキー、十六歳の多感な感情が、たまに独善のプライドが他のスタッフをイライラさせ、店長が「プライドより料理を流して」 
とたまに突っ込むことがあるが、そのプライドは若さゆえの過ちとしておこう。


実は大のスターウォーズのマニアで、その趣味は、おいおい物語で語られる。

ツッキーはオーダーが入ると注文を確認、チーズ・ハンバーグとトマト・パスタが注文票に書いてある。
冷蔵庫から焼成チーズ・ハンバーグを取り出しレンジでチン(暖める)し、鉄板を用意し余分な油を取る紙の上にハンバーグを置く、付け合せのガルニも一緒に載せて流し・・・おっとガルニとは鉄板料理に載せるミックス野菜・コーン・ハッシュポテトなどを組み合わせた付け合せであり、ハンバーグやステーキで濃い味にになった舌を「あっさり」と言う感じで癒してくれる。
オーブン・ベルトコンベアに料理を盛った鉄板が流れ、デシャップに流れるまでの3分間の間にトマト・スパゲッティーなどのフライパン料理を作りデシャップで完成される鉄板料理と提供(お客様に料理を出す)のタイミングを合わせる

セントラルキッチンの女王

セントラルキッチンの女王

=サラカン=の巨漢の男がサラカンで作るべきオーダー伝票を見ながらサラダと生姜焼き和膳の準備に入る、各野菜のグラムを正確に測りドレッシングをかけ、生姜焼きの調理しながら土台の皿にキャベツを盛りドレッシングをかけ両方を=デシャップ=に渡す。
大きい背中でキッチンで動く人々を遮る壁のような男、店長から

「林君。前が見えない」

とま~理不尽なことを言われ。これもまた16歳の林君がサラカンで料理を作る。
この二つから送られる料理はセントラルキッチンの司令塔 =デシャップ= が最後の吟味をし料理を仕上げ、その料理はフロアからお客様に提供される。

では最後の仕上げをご紹介しましょう。
=デシャップ= は、お客様に料理を提供するために =イン= と =サラカン= から送られてくる料理の最後の仕上げの前に伝票に書かれたポタージュを先行で出し(メイン料理より先に)、和膳などのお盆に載せる場合は小鉢料理と味噌汁を載せ、この味噌汁は注文に応じて豚汁にも変えられるときがあるので =デシャップ= は細心の注意でオーダー伝票の確認し、=サラカン= とベルトコンベアから流れてくる鉄板に載ったチーズ・ハンバーグの流れきる時間を計算しながら、ライス皿にご飯を盛る。

=デシャップ= は、このセントラルキッチンで最後の要の場所、そこで恍惚とオーダー票を見て不思議にキッチンの人々を圧倒する雰囲気を出し、左手にトンクを持ち、マスクを被り、オーブンベルトコンベアから流れてくる鉄板の上の料理を見回す疑惑の視線、キッチンを支配うる女王の姿に畏怖し =イン= と =サラカン= に立つ林君とツッキーは二人は緊張した。
「女王は疑惑の眼差しで人を見る」セントラルキッチンは女王が支配する国
=イン= と =サラカン= の二人が送った素材料理を疑惑の視線で吟味、彼女はファミレスの料理を全てマスターし =デシャップ= で最後に料理を仕上げるのが女王。

「あ~いまいちなんだけどな? もうちょっとキレイにモレッツ~の!」

鋼鉄の視線を料理に送りメニューと焼き具合など盛り付けが違わないか?と舌打ちしながら料理の盛り方を修正する様子は =イン= と =サラカン= の二人の心臓の鼓動が高鳴らせる。
文句の付け所が無いかを再度確認、この気高さが彼女の持ち味、満足がいけば左手に持ったトンク(料理を掴む道具)を置き、和膳に全ての料理を載せ、チーズ・ハンバーグの載った鉄板を木板に載せてオーダー伝票に書かれたドミ・ソースが間違ってないか確認しソースを載せ(注文に応じてソースは変わる)、全ての料理が揃ったのを確認しフロアに向かい。
凛とした声で
「料理できました~!」
とフロアに合図する。
その左手に持ったトンクと、店のスタッフを常に疑惑の視線で疑い、間違いを見つければ罵倒し、その罵倒の中には彼女なりの優しさが含まれているが、機嫌の悪いときは理不尽までの怒りをぶつけてくる。そして完璧に料理を作り仕事をこなす。

「口を開かなければ、普通ぐらいに可愛い女の人なのに…」

命知らずだよ林君、心で思っていても言葉にしちゃダメ!

胸にある名札には可愛らしいエンジェルと花のシールがはってある。この彼女の自己主張は『う~ん』と考えさせられるが、これはツッキーいわく

「綾野さんの中の中学2年生が暴れているんですよ」

本人が聞いたら怒る様な事を簡単にいうな~ツッキー。
仕事を厳しくこなしながら可愛らしいいでたちと鋭い疑惑の視線、気高さと理不尽を通す強引さから誰が名をつけたのか分からないが、畏怖と恐怖と敬意をこめて
=セントラルキッチンの女王= と二つ名を頂く事となる

ページトップへ戻る

=== PM 5:00 ===
週末の午後5時~9時間、この時間帯をディナーと呼ぶ、この時間は昼のランチタイムと並んでファミレスは物凄く急がしい。
でインナーの時間、その中でどのように時間は過ぎても、彼等彼女等が行なったこの崇高なキッチンでの調理の繰り返しは、喜劇と悲劇が演ぜられる。
女王を調理を何と例えようか?
キッチンにオーダー表が乱舞すると女王の顔はなんとなく?美しく?、おだやかで情熱的に冷ややかだ。
なにか矛盾するが、それが女王の現実
荒々しい女王の視線と言葉は雷となり、周りのスタッフが春雷に怯える羊のごとく女王にひれ伏し命令を聞く、なによりもナイト(午後5時~9時)のピークの忙しさは時間は女王の指示と罵倒と共に、あっけなく去っていく。
疫病と死を司る月の女神アルテミスの様な無慈悲な女王の瞳は疑惑を持って輝き、かと思うとそのデシャップで潰れた(混乱で料理が出せない)ときの顔はしばしば曇る。

どんなに美しいものも、いつかその口の悪さは「彼女は可愛いという言葉」をはぎ取られるのが宿命、美しくも気高く口うるさい、それがセントラルキッチンの女王
偶然によるか、キッチンに摂理によるかの違いはあっても。
でも、女王のキッチンは疑惑と混乱を持っていても、彼女の調理は色あせたりはさせない。
まして死神の宣告の様な視線がキッチンに陽光の如く降り注がれ、その視線の光と影の中で皆は料理と規則正しく動き、同時に「オロオロ」とさまよっている。
永遠のとも思えるディナー(午後5時~9時)の地獄のような時間も、女王の中で可憐に燃え上がり、女王の心の中の中学2年生の怒りと混乱が熟しているのだから、女王が息をし、女王がものを見て暴れ、セントラルキッチンは生き力を生み出し、この物語にいのちを与えつづける。

土曜日の夕方、、午後5時を過ぎると自分の労働時間が終わった彼が、爽やかな笑顔と嫉妬深い彼女が首につけたキスマークが印象の彼が退勤の打刻をすると

「ハニー(恋人)が待っていますから失礼します」

と余分な一言を言ってキッチンを去っていく、その姿にセントラルキッチンの女王の女王が軽薄な目線で見て
「チッ!」
と嫌な顔をしながら軽く舌を打ちレトルトカッターで具材を取り出すときも何故か?荒々しい、彼女の心の中は荒れ狂う嵐、それは我が身に起きた過去の不幸と重ね合わせただかもしれない?
ラブリー大西君が彼女を幸せに思っている姿は女王の心に何を与えたのだろう?
ツッキーと林君がラブリー大西君の言動を聴き、二人は女王に血相を変え振り返り、

「なんて命知らずのことをするんだ!!」と戦慄を覚える。

こういうリアクションがあるときは、あえて深みにハマる言動はやめよう、ラブリー大西君、キッチンに残されたこっちの身になってください。空気が変わり大変なんです。
キッチンの様々な音やが聞こえ香りがする。
オーブン・ベルトコンベアは24時間動き続け、コトコトと音と湯気をあげるポタージュ、味噌汁の香りが漂い、洗浄機の音がバンドのドラムの様な規則正しい音、その軽快な秩序を突き破る声が聞こえた。

「なんか文句ある?」

二人の視線を感じたのか、背中越しの押し殺した女王の声が越しに向けられ、ツッキーはショートな爆弾発言

「フォースを感じましたか?」

スターウォーズの見過ぎ!まあセントラルキッチンに女王がいるぐらいだからジェダイの騎士が一人ぐらいいるのもしょうがないかもしれません。
ツッキーはボケているのか?本音なのか?言い誤魔化そうとしてるのか本当にツッキーの反対側、サラカンの林君は『空気読めよ』と視線を送り促す。

「あんだって!?」

二人に振り返りながらドスを利かせて女王の声を聞き彼女の後ろ姿に桜吹雪の遠山の金さんが見える迫力がある。ツッキーと林君は『いやいや僕達は下手人じゃないですよ』と思いながら二人は顔を見合わせ地雷を踏まぬように声を合わせて返事をした。

「なんでもありません」

妙な静寂がキッチンに訪れるが、その静寂を破りディナー(午後5時~9時)の戦場の時間がやってきた。連続でオーダー伝票の機械が音を発しながら紙が出てき調理する部署の人々は、キッチンの調理作業に追われなければならなくなり、二人に訪れる予定の不幸から逃げ出すことが出来た。二人は助かったと思う、心のそこから。

そういえば月を司る女神アルテミスは美しくも嫉妬深い

=== PM 6:00 ===
キッチンは一つの舞台であり、すべての調理者はキッチンの一部にすぎない。
彼らはシフトの割り当て時間による退場があり入場があり、キッチンが忙しい場合は、一人の人間が一度の登場で多くのポジションを演じる。
午後6時を過ぎファミレスの席が喫煙・禁煙共に満席になりウェイティング(待合席)のお客様も3組、当然キッチンは最大級の混乱と忙しさを迎えようとしていた。この時間の調理は一つの作業を間違えると料理の提供が出来なくなりつぶれる(お客様に料理が出せなくなる)
セントラルキッチンの調理においても、ある種の潮流がある。オーダーの流れを読み皆で歩調を合わせ料理を提供する流れの満ち潮に乗れば、全てを上手くこなせると言う幸運に導かれる。
料理の流れを無視をすれば、提供(料理をお客様に出す)できない!!
オーダー伝票がキッチンに溢れ、キッチンの人々は、魚が海を回る旅に苦しみ、流れに乗れず大海原の浅瀬に漂うだけとなる。私達は、今の時間のキッチンは、そういう海に浮かんでいる魚と同じ。 だから、そのオーダー伝票をこなし調理を完遂する潮流に乗らなければならない。
さもなければ、職務における責任感に賭けているものをすべて失くすことになるのだ。

「オーダー待ち4名さまが二組、ウェイテイング(待合のお客様)は
7名様一組、禁煙・喫煙は満席です」

フロアから状況を知らせる声が聞こえる。
キッチンの中のスタッフは現状を把握しながら料理をどのように対処しようか考え、まあ考えても目の前にあるオーダー伝票をこなすことしか出来ませんが。
オーダーが入るとインに立つツッキーはハンバーグが入った引き出しをおもむろに開きオーダー表に準じた料理を次々と鉄板に載せオーブンベルトコンベアに流す。
忙しい時間に立て続けに入るオーダーは=イン=のポジションに立つ者に多大な精神不可を与える。
ここで料理をベルトコンベアに流すのを失敗すると取り返しのきかない事態を招く、このオーダーをギリギリにこなしながらツッキーは呟いた。

「フォースよ導いてくれ」
セントラルキッチンにフォースで秩序をもたらそうとしているのか?
スターウォーズの有名な哲学の様な言葉を言い、冗談か本気かわからないが、忙しさが増す中、けっこう余裕があるなツッキー、呟くのはいいから早く料理を流してくれ。
インと同じようにサラカンの林君もポジションの料理に追われる。豚肉の枚数を数えながら生姜焼き和膳の準備をし、ハンバーグやチキンとセットメニューのサラダを仕上げインと歩調を合わせてデシャップに料理を渡す。

「水が飲みたい」

顔の赤い林君が呟く、忙しくデブ特有・・・失礼しました。
体の大きな人は普通よりたくさんカロリーを消費するから体に冷却効果が必要なんだろう。この場合そう信じるとしよう。
それとも人生で最初に水の存在を感じを感じ最初に言葉にしたヘレンケラーのようにか?
そんなことはさておき、オーブン・ベルトコンベアから流れてくるハンバーグ等が載った鉄板を物凄い勢いで木版(鉄板を載せる板)に載せ、オーダー伝票でソースの選択を確認しココットにソースを入れるか?
それとも直接料理にソースをかけるか?
ここでソースをかけ間違うと最初からやり直しデシャップの重要な役目がここ、ソースをかけ終わり、付け合わせのガルニを整え皿や鉄板に飛んだソースや焼き汚れをダスター(調理用の布)で拭き取り仕上げる。

「だからキレイにもって流せっちゅ~の」

ツッキーがイン側から急いで流した料理に軽く女王は毒づく

「彩野さん、すみません。」

ツッキーが忙しさのあまり崩れ盛ってしまった料理、自分の非を認め軽く謝ると

「ねえ、あ~こんな汚くもった料理、ツッキー?食べたいと思う?
あたしゃたべたくないね~」

左手でトンク(料理をつかむ道具)を振りながら、小癪に顎を上げ軽く首を捻りながら一言余計な言葉を女王は放つ。
いや、この一言の余計な言葉の多さと口の悪さが人生を何か損をさせているな~?と思うのだけど、彼女の中で過去に成し遂げた調理の実績は完璧、そしてイメージの中で作られるであろう未来の料理は最高によく思える。
今、目の前にある料理の状態は最高に悪い。
この場合は過去の弁解をすると、その過失を目立たせる。
林君は女王が言うセリフを聞きながら横目でこう思った『彩野さんの中の中学2年生が暴れている』・・・いっちゃダメだよ本当のことは。
間違っても口に出してはダメだよ林君、心の奧にしまって墓場までその言葉を持って行きな、悲劇と喜劇を繰り返しながら忙しさは最高長になり、ディナーの午後6時各ポジションがオーダーの多さに限界を感じ始めた。この頃になると応援の人員がシフト(スタッフの労働時間表)に記されており応援の登場となる。

=田村のおばちゃま=
サラカンとデシャップの応援に投入されてきた『田村のおばちゃま』がキッチンに入る。女王を始めツッキーと林君も『これで一息つける。オーダーが順調に回る』と全員が思った。
だが甘かった。更なる混乱のときが訪れる。
ベートーベンの運命のメロディーの様に「ジャジャジャジャ~ン」と悲劇の旋律を奏でながら忙しくキッチンで成される調理には潮時というものがある。
うまく満ち潮に乗るように料理を流し完成させ提供(お客様に料理を出す)できれば成功するが、その料理を流す流れを逃すと、浅瀬の岩にぶつかり難破した船の様に航海を全うできず不幸災厄ばかりが起こり浅瀬で座礁してしまう。
この次の時間に本日の最大の悲劇と喜劇がセントラルキッチンに同時に発生した。

=== PM 6:00 ===
午後6時が過ぎ、三人のキッチンのポジションそれぞれ、インのツッキー、サラカンの林君、デシャップに存在するセントラルキッチンの女王の彩野さん、それぞれオーダー伝票を見ながら、お互いの作業を呼びかけながら仕事をこなす。
女王・ツッキー・林君の3人はセントラルキッチンに登場した新たな4人目、助っ人の『田村のおばちゃま』が言い出す途方もない言葉を最初信じたくありませんでした。
現れた直後、悲劇と喜劇が混じり合う本日の最大の混乱に遭遇、皆がその言葉と行動で本当にぎくりとします。
林君が今まで皆が不思議に思った事を言い当てたからです。その台詞は核爆弾に近い破壊力を持ちキッチンに炸裂するわけです。
そして、その言葉がの悲劇と喜劇の引き金になり新たな人物の登場になるわけです。

デシャップで『千手観音』宜しくと言わんばかりにオーブン・ベルトコンベアから流れてくる料理を相手に女王の彩野さんの左手がトンクを握りながら料理と乱舞する。
だがファミレスに料理を提供(お客様に料理を出す)する流れは二つあり、一つはハンバーグやチキンやスパゲティーといった料理を作ることと、そしてもう一つはデザートであるパフェやケーキなどのデザートを仕上げる流れ。
ファミリーレストランのオーダーは前半は料理がメインだが後半はデザートがメイン、レストランに入退場し、ファミリーレストランのお客様は全て入れ替わり、午後7時前後がセントラルキッチンの最大の攻防の山場、この時はサラカンは二人体制となりデザート担当と惣菜担当と持ち場を分けオーダー伝票に対処する。
この時間、惣菜料理とパフェの間でサラカンの人々は揺れる。売れ筋商品の2種のパフェや6種のサンデーのオーダーが集中的に入りパフェのグラスに様々な材料を入れていきデザートを仕上げる。

一番下にチョコソース10g
二番目にカスタードクリーム20g
三番目にコーンフレーク5g
四番目にチョコアイス40g
と段々で素材を盛ってパフェを完成させるが、田村さんが作るパフェがおかしい?途中からイチゴアイスや抹茶アイスが入ってるぞ!
何も疑いなく明らかに作り間違えているのに作り続ける田村のおばちゃま、おいおい気づいていないのか?
そんな田村のおばちゃまに気づいた女王が

「田村さん、何作っているの?そんなんメニュ~ね~よ」

相変わらずの口が悪いね綾野さん。
デシャップに運ばれた極菜食に彩られたパフェを見て怒っている。
いや誰の目から見ても酷いパフェだ、お客も出されたら怒るより悩むぞ!

「あれっ! あたし何作っているんだろ~」

あれじゃないよ! 頼むよ! 『田村のおばちゃま』、一つの調理の失敗をカバーする為には、相当の時間費やさないと元に戻らない。
一つのミスで出来た穴に労力が流れ込み正常な調理の流れを戻すのは大変なんだよ!
『田村のおばちゃま』と林君が、それぞれ必死にこの時間を乗り切ろうと料理を素早く作り続ける。インのツッキーもイン側の料理を限界まで頑張り作り続けピークを乗り切ろうと頑張る。
デシャップで料理を仕上げている女王を見ると・・・あっ
必死にライスを皿に盛り、ポタージュを出し、味噌汁をいれ、和膳を並べ・・・・

「あ~おいつかない!ちょっと誰かライス皿にあたしの変わりにご飯入れて!」

イライラしながら女王が声を出すが、各々のポジションは余裕が無いし、手は自分の担当の調理で埋まっている。
動くのは口だけ、ツッキーが余計な一言を女王に言った。

「彩野さんごめんなさい。
それは僕のかわりにトイレに行ってくださいと同じことなので無理」

ツッキーが感に触る言い方で応援するのを拒否、めずらしい光景だ。
本当にめずらしい、女王の彩野さんが悲鳴をあげている。限界が来たようだ、一秒たりとも余分な動きができないギリギリの調理、流石の女王も料理の量が多すぎ、忙しさで対処が限界。
このときの状況を説明しよう。
イン側からデシャップまでの距離2メートル。サラカンは背中越しのデシャップでの距離1メートル、簡単に見ればキッチンの中は狭く振り向けばすぐにでも応援に行けそうだが、各々が目の前にあり自分が作るべき料理から離れることができず、忙しいときは二つのポジションからデシャップまでの距離は宇宙戦艦ヤマトが地球と大マゼラン星雲を往復するような膨大な距離と時間をキッチンの全員が感じる。

「田村さん! デシャップ手伝って!」

本来サラカンとデシャップの応援に来た田村さんは、女王に返事をせず何かブツブツつぶやきながら料理を作っているみたいだ。振り向くこともできず目の前の料理に束縛された女王は二人目の助けを呼んだ。

「林君!! 田村さん何やってる?」

この日のディナー最大の危機に女王の綾野さんは必死に助けを求め叫びを上げ、それに林君は答えた。

「田村さん。料理と喋っています。」
「ハッ!!!!!!!!!」

キッチンの全員が疑問符の声をあげた。

『豆腐バーグの横に置いていいんだね。
あっそうか?もうちょっと右ね。
大根は~あれっ!ちょっと多すぎたかしら? いいね、頑張って和膳に載せるからお願いよ、
キレイに提供されてね・・・ヨロピク・・・。』

全員が一斉に感嘆符のクエスチョンを頭に乗せながら『田村のおばちゃん』に振り向き凍りつく、いや~現実にこんな光景を見ると思考が停止するんですよ、セントラルキッチンの女王である彩野さんの中の中学2年生の動きが完全に停止した。

田村さん。あなたにとって料理は何でしょう、あなたは料理と何故に会話しているのでしょうか?悲劇と喜劇の影があなたにしがみついているのはなぜ?
神は、我々を人間にするために、何らかの欠点を与えますが・・・・
人間はそれぞれいくつかの特徴と癖を持っています、あなたはひとりの人間なのにいくつもの伝説を創り出せる。
豆腐バーグが載ったお皿がありますが、お皿に載った豆腐バーグは喋りません。
でもあなたと料理はなぜか会話が成立しています。
セントラルキッチンの女王の綾野さんも、あらゆる料理の技法を駆使しても料理と会話できません。
田村さんあなたの姿を見て呆然の女王は左手で自分の右の腕を引っかいているよ、結局はキッチン全員が唐突に訪れた衝撃は核爆弾が炸裂したような現実を確認し、頭をかくことになるでしょう。
もしキッチンの全員が料理と会話しても、あなたと料理が会話するものまねであり、かぎりない豊かさと愛情を料理に示す田村のおばちゃま、皆はあなたの模倣にすぎないでしょう。
なぜか多くのキッチンで起こる多くの喜劇と悲劇の現場の中心、そこにあなたがいます。
変わらぬ心、料理と話す真実はあなただけのもの。
・・・・・キッチンで作業している全員が20秒間凍りつき、そのときセントラルキッチンは停止した。

「先頭のミート・ドリアまだですか?」

フロアから催促の声がした。あと5秒キッチンの動きが止まっていたらオーブン・ベルトコンベアから出てきた料理が渋滞を起こし、料理が柵を越え床に落ちてしまい大惨事になるとこだった。
全員が我に返り調理を再開、ここでロスをした時間は、この限界の忙しさのファミリーレストランを、このセントラルキッチンを、どのようにして立て直すのか?キッチンで動く人々は目の前のオーダー伝票と格闘しながら途方にくれる。

われわれの人生は運命の糸で織られているが、運命の糸には良い糸も悪い糸も混じっており、突然に訪れた混乱の運命の糸のもつれをほどこおと、キッチン全員が料理に立ち向かい、流れを元に戻そうと努力をする。
『田村のおばちゃま』は、自分のペースで料理と会話をしながら動いている。ほかのスタッフは年末に流れるベートーベンの行進曲9番の歓喜の詩

「おお友よ、このような音ではない! 我々はもっと心地よいもっと歓喜に満ち溢れる歌を歌おうではないか」

そんな感じでキッチンで奮戦している。マイペースの田村さんを尻目に、すべての出来事は、それぞれの人間によって人生とは、それぞれの速さで走るものだ。
田村のおばちゃまの奇妙な言動が聞こえる。またしても運命は残酷。

「グラタンが『こんにちは』って言っている」

キッチンの全員が振り向くと"田村のおばちゃま"が料理と話をしている。オーブン・ベルトコンベアから出てき始めたグラタンに向かい挨拶をしている。
田村さん。あなたは料理の言葉が分かるんですね?完敗です。
このまま摩訶不思議なことが起こり続ければ、忙しいディナーの時間を乗り切るのは難しいかも?キッチンの中には幸福も不幸もない。
ただいまがある。それぞれの考え方でどうにでもなるのだから、キッチンにただ一人だけでも心を分かち合う魂があると言える者もがいれば、この地獄のようなキッチンの運命を共同で努力し混乱を脱出するであろう。
厳しい現実は彼等と彼女等の心に、「お客様に料理を提供できない者は、このキッチンから泣く泣く立ち去るがよい」神が厳しい試練を与えていた。

・・・・・あ~キッチンが本当に潰れそう(お客様に料理が提供できなくなる)
これはダメだ物語が潰えてしまう。別の登場人物をこの物語に送り込まなければ物語が成り行きいきません。
ではこの物語をご紹介してきた私・・・ご紹介が遅れ失礼しました。この物語を皆様に語りかけてきた私くし『岩倉豪』と申します。宜しくお願いいたします。
次の時間から私は演者としてキッチンに立ち、調理をし、キッチンを立て直しながら物語に参加したいと存じます。・・=== PM 7;00 ===
ファミリーーレストランのキッチンは、始まりと終りが曖昧なまま絶えず「今」を引き延ばし24時間動き続ける。
ファミレスは朝・昼・夜と調理と、工場から配送された調理に必要な材料をキッチンに補充をし、そして深夜は清掃と営業を、と繰り返し365日、一年間止まらず時間が過ぎていきますが、劇的な事件は忙しい時間に集中して起こり、事件の始めがあり、事件の終りがあります。当り前すぎることですが、これがとても重要な特徴なのです。
混乱を招きながらも始めと終りがはっきりしているからこそ対処が出来まして、仕事が成立できるのです。
もし永遠に終わらぬトラブルなら、この物語ができません。
だからこそキッチンで成すべき事を行える時間は無限ではない、問題が発生すると、その時間はキッチンスタッフにとって掛け替えのないことを痛切に感じさせられるのです。
限られた時間を輝かしく生きている実感。
それがセントラルキッチンの醍醐味ではないでしょうか。

私がセントラルキッチンに入ります。
今まで何をしていたと言うと?RS(ルームサービス)と言う配達業務、簡単に言うと出前です。このRSをしていた事に皆さん思っていてくださいね。
このキッチンが迎えた本日最大の危機にキッチンの一翼を担い混乱を収拾しようとセントラルキッチンと言う舞台に参上しました。本意ではありませんが。
私がキッチンに入る事で全員のポジションの配置換えとなります。
なぜなら、あまりの忙しさにキッチンの材料が枯渇し、オーダーストップ(材料が無いために注文が受けられない)になり注文を受けられないメニューを解消する為に工場からトラックで配送された材料を大型の冷蔵庫・冷凍庫に振り分ける配送業務をツッキーにお願いし、私が=デシャップ=を担当し、
=イン=をセントラルキッチンの女王の綾野さん、
=サラカン=を凸凹コンビの二人、田村のおばちゃまと林君、まるで野球のゲームの様に監督がポジションを変えプレーを続投させる。

ページトップへ戻る

それでは物語を続けます。

さて=イン=の様子を見ると・・・なんと綾野さんが調理で苦戦している。
あ~この人でも苦手のポジションがあるんだデシャップでは猛威を振るい、サラカンでは完璧に仕事をこなすが、女王様、あなたもやっはり神が欠点を与えた人間だったのですね。
ディナーの時間の客数は200名を超え、フロアの席も3回転お客様が入れ替わり、4回戦目に突入、オーダー伝票が乱舞しセントラルキッチンはフル稼働、5分・10分とキッチンの時間が過ぎ苦戦しながらも懸命にキッチンを立て直そうと全員は奮戦、セントラルキッチンの女王は、忙しさで汗をかいたのかトンクを持つッた手で顔の汗を拭った。その不意をついた行動が驚きの展開を見せた。

女王の右側の『まゆげ』が無い、いや、うっすらと消えかかっている。

え~化粧品で描いた芸術的な眉毛が汗と今の手で拭った行為で消滅したかもしれない?私のほかに気づいた林君が口を開こうとしたが、私は全力で阻止した。
旧約聖書のソドムとゴモラは滅ぼされる話を知っているか林君、アブラハム一家が神様が「逃げる途中、決して後ろを振り返ってはならない」と忠告したのに、アブラハムの奥さんが後ろを振り返ったため塩の柱になったという話があるんだよ、だから綾野さんの「まゆげ」に注目してはだめだよ!!私達が塩の柱になってしまう。

「あ~っあたしの顔ばかり見てないで、さっさと仕事しろよ」

どうしよう!?こういう時は自分の意思に反して息を呑むほどガン見してしまう。
なんで皆が見ていまるのか?彩野さんわかっていますか?
いや~あなたの顔が凄い事になっているんですよ!
「まゆげ」が消えたことを彼女に言ってよいものかも判断できない。
たとえ言ったとしても、この忙しいキッチンでは化粧をしなおすことも出来ずどうにもならないであろう。だが「まゆげ」が消失した事件を話てしまったら確実に殺されるマジで。
どうしよう人間一度しか死ぬことはできない。
ここで生きるべきか?死ぬべきか?シェークスピアの悲劇オセロの様に悩みながらも、注意したい。
注意したいという恐怖の欲求はいかに抑えようか?
このまま大人の対応で無視して生きるべきか、自分の欲求に従い言葉を発し死すべきか?それが疑問だ。

「先頭キッズハンバーグまだですか?お客様から請求がかかっています」

冷や汗をかいているなか、フロアから提供されていない料理の請求がかかる。デシャップにあるオーダー伝票を見ると確かにキッズハンバーグが提供されていない。
何故かと原因を探る為にオーブンベルトコンベアを覗き込む・・・が・・何も流れていない。インからハンバーグがオーブン・ベルトコンベアに流していない。そうデシャップに届いていないのから料理が提供できない。
私はインを振り向き

「綾野さん、ハンバーグ流れていないのですけど?」

デシャップから女王の綾野さんに声をかけると、信じられない一言が返ってきた。

「なんでハンバーグが流れていないのを注意しないのよ!! インが流していないのを注意するのがデシャップの役目でしょう! 岩倉さん! デシャップでちゃんと注意しなければ、インは気づかないんだから!」

えっ!それって私が悪いんですか?
一番最初に調理するイン(料理を最初に作る)に立つあなたが一番悪いはずなんですけど?デシャップのポジションに立つ私は女王・・綾野さん、あなたが料理を送らないと何も出来ないのですけど。
セントラルキッチンの女王!綾野さん!それは不条理すぎるぞ。
キッチンで作られるメイン料理の多くはイン側が調理手順を踏み流さないとセントラルキッチンで製作される料理が成立しないはず??? 神よ、なぜ私が悪いのでしょうか?
綾野さん、あなたがなすべき仕事をしなければ私はどうしよも出来ない。
女王がものすごい勢いでにらんでいます。
敵意の視線で意思を感じ、私の口から出た言葉が

「すみませんでした」

なんか状況を把握してもらうのが、めんどくさいので、とりあえず私は謝りました。
しかし、ぜんぜん納得はいってません。
綾野さんの中の中学2年生が大暴れして出た言葉なんでしょうか?
すると小さな声で呟いた。

「インから流さない私も悪いのだけど」

そう言う事は人に聞こえるように主張してください。
人を邪な道に引き込むため悪魔が真実を言うことがある。わずかな真実で引き込んでおいて、深刻な結果で裏切るために。
ディナーの時間は悲劇と喜劇が入り乱れる。
あ~あなんか色々ありすぎるぞ今日は、す~っとサラカンの林君が何かいいたげに私に近寄ってきた。

「ちょっといいですか?」
「何?」
「インが流さなくては料理が提供できません。
いまの綾野さんの言葉、10歩中9歩譲っても、綾野さんが悪いと思います。
なんで岩倉さんが怒られるか理解できないんですけど?」

私も理解できません。綾野さんの中にいる中学2年生には勝てないのでしょう。

「今は忙しい、とりあえず料理を流して提供するのが先決、
めんどくさいことは後で考えよう」

いや本当に不条理極まりなく、筋が通らないことが甚だしくもあり、この上なく非常識だ。

そこを綾野さんに求めてはいけない。

私たちの疑いは女王にとって反逆であり、全ては私が悪く、料理を順調に提供出来ないのは私が注意していないのが原因、これが不条理な彼女の価値観に私たちを誘いこむのである。
麗しの月の女神アルテミス、美しくも嫉妬深い、それを彩った女王の顔、美しさには必ず薔薇みたいに棘がある。
猜疑心豊かな君の目だ、まさかそれに不条理さを持ち合わせているとは、確かに女性らしいやさしい心も持つが、不条理な中学2年生の心もあわせて持つ、君が鷹の目が獲物を狙うようにキッチンを監視して、ずっと猜疑心豊かに怪しく輝いている。
君が見つめれば、見つめられた者達は、みな怯え震える。

・・・・あつ・・・・いかん。料理を作りキッチンを立て直さなければ!!
いちばんひどい逆境に沈んでいる者は、常に望みを持たなければ、我に返ると、このような不条理な出来事よりも、眼前に展開されている現実が、伝票の料理こなさなければキッチンは回復できない。とりあえず今の来事は頭から振りほどき調理に専念しよう
成すべき事を成し、成さねばならぬ事を成す、全てはそれからだ。
我々セントラルキッチンの面々は、それから20分全力を尽くした。

===PM9:30===
このセントラルキッチンの忙しさも、まもなく終わろうとしている。
インもサラカンもデシャップも一息ついてきた。
キッチンの後ろで配送された食材を納品していたツッキーも仕事が終わり、シフトの時間の終了でキッチンを去ろうとしていた。

「お疲れ様でした。フォースのご加護を!」

セントラルキッチンを守るジェダイの騎士は去っていく。
ツッキー今日は忙しかったから疲れているんだね。そうだよ。
週末のキッチンはいつも大変だ、だが楽しんでキッチンで料理をする苦労は、苦痛を癒すものだ。
セントラルキッチンの忙しさは皆が悲しみと苦労を分かち合ってくれる。仲間さえいれば悲しみと苦しみを和らげられる。
そのさなか林君が私に近づき、セントラルキッチンの女王・綾野さんの顔を指を差し
封印していた言葉を言った。

「=まゆげ=がないです」

そして私達は塩の柱になった

=== PM11;00===
「このセントラルキッチンは舞台、人はみなポジションを演じる役者」
セントラルキッチンは各ポジションの強力で忙しい時間を乗り切りましたが、個性豊かな人々が織り成す様々な物語もひとまず幕を下ろすときがきました。午後11時過ぎ、セントラルキッチンの女王の古町綾野さんも8時間のシフト(労働時間)を働きぬきキッチンを次のシフトの人にバトンタッチしキッチンを離れました。今は休憩室でスマートフォンを神速で打ち込みながらメールをして黄昏、そして疲れている。
週末の大激戦を戦い抜いたキッチン・フロアのスタッフの人々が休憩室に集まり今日の反省点などや出来事の数々を笑いながら話している。
林君と私は神の教えを破り禁断の言葉を口にした為の自業自得なのですが、とある出来事で女王に張り手をされ頬が痛いです。
楽しんでやる苦労は、苦痛を癒すものだ。それぞれの仕事の問題点を報告書に書き込み、一人づつ休憩室に現れ入れ替わりながら綾野さんに挨拶をして去っていきます。

セントラルキッチンの女王

セントラルキッチンの女王

=== AM2:00===
それから3時間後
女王は、まだキッチンにいた。

綾野さん。どれだけファミリーレストランがすきなんですか?』

忙しさで疲れ果て燃え尽き、左手でペンを持ち報告書に字を書こうとしたまま机に伏せて寝ている。
授業中の学生が寝ている格好と同じ、そこまで頑張ったんですね。
快い眠りこそ、自然が人間に与えてくれる優しく懐かしい看護師だ。
綾野さんが責任を全うし、その姿は「自然」。
彼女の働きはキッチンで働く人々から信頼され、また中学2年生の心が炸裂し畏怖させ、彼女の仕事のバランスは、色んな意味でやりすぎだが、仕事に対する真摯な姿勢は凄いと思う、ただ自然に、この物語を面白くさせた彼女の言動は自身の姿を鏡を立て見ることが出来れば、鏡の自分を見て「つつしみを踏み越えてはならない」と言うかも知れない。
さて?そんなことを女王は思うのでしょうか?
だが彼女の真摯なる仕事の姿勢は模範たるべし。
ありのままのこの世の姿、セントラルキッチンは毎日毎日色々なお客様が訪れる。個性的な働く人々、様々な思いがファミレスは24時間堂々と巡っていく
それでは私も休憩室を去ることにいたしましょう。
寝ている綾野さんに私は一礼し別れを告げます。
彼女はまだ寝ていますが、机で寝ている女王が起きぬように休憩室の扉をそっと閉め、キッチンの前を通ると深夜に働くフロアやキッチンの人達に「おつかれさまでした」と声をかけフロアに、入り口のドアを開け外に出ると夜空に綺麗な満月が浮かんでいました。

ファミリーレストランに訪れるお客様。
ベストを尽くして料理を作るキッチンの皆さん。
お客様に笑顔で料理を運ぶフロアの皆さん。
このファミリーレストランという舞台に登場し去っていく皆さん。

「訪れる者に安らぎを、去り行く者へ幸福を」

月を司る女神アルテミスは美しくも嫉妬深い、ファミリーレストランのセントラルキッチンは私を実にわくわくさせてくれる。
では、次回のお話でまたお会いしましょう。

ページトップへ戻る
Copyright © EAST END TV. All Rights Reserved.